講座詳細


- 開催日:
- 2025年05月24日(土)
- 時間:
- 14:00 - 17:30
- 募集中
シンポジウム「再演再現──文化・芸術・歴史の再提示における問いと愉しみ」
本シンポジウムでは、わたしたちがいま「再び」かつ「新たに」文化や芸術、歴史と相対する際、その再現性や差異について、ともに考えていきます。
時間構成(予定)
14:00 – 14:05(5分):あいさつ(司会)
14:05 – 14:15(10分):シンポジウム、研究について(平)
14:15 – 14:45(30分):基調講演①「「替え歌」再考:「二重の声」の文化の系譜」(渡辺)
14:45 – 15:15(30分):基調講演②「「パフォーマンス」をめぐる美術館ののこし方・劇場ののこし方」(立花)
15:15 – 15:45(30分):基調講演③「文明の変貌 古代末期をめぐって」(本村)
15:45 – 16:00(15分):休憩
16:00 – 17:30(90分):討議、質疑
- 場所
- 東京藝術大学上野キャンパス美術学部第一講義室
- 主催者
- 人文社会系研究科・文学部
- 主催者(詳細)
- 東京大学ヒューマニティーズセンター、東京藝術大学未来創造継承センター
- 受講料
なし
- 詳細URL
-
https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/joint-events/2025/saien-saigen/
共催:科研JP23K00189「時間を伴う芸術の再演における再現性とその差分」
登壇者
渡辺 裕(わたなべ ひろし)
(音楽社会史・聴覚文化論|東京大学名誉教授)
東京大学名誉教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程(美学芸術学)単位取得退学。玉川大学文学部助教授、大阪大学文学部助教授、東京大学大学院人文社会系研究科教授、東京音楽大学教授を歴任。著書に『聴衆の誕生』、『西洋音楽演奏史論序説』、『日本文化 モダン・ラプソディ』、『サウンドとメディアの文化資源学』、『感性文化論』(以上、春秋社)、『歌う国民』(中公新書)、『校歌斉唱!』(新潮選書)など。
立花 由美子(たちばな ゆみこ)
(博物館学|静岡大学グローバル共創科学部専任講師)
1989 年生まれ。2014 年慶應義塾大学文学研究科美学美術史学専攻修了、2016 年 UCL 修士課程(博物館学)修了。大英博物館での研修を経て帰国後、2018 年から 2021 年まで金沢 21 世紀美術館学芸員。主な論考に「インタープリテーション:「みる」人とつくる展覧会」(『国立新美術館研究紀要』、2018 年 )、「パフォーマンスコレクション再演のための試論:塩田千春+岡田利規《記憶の部屋について》を起点に」(『Я[アール]: 金沢 21 世紀美術館研究紀要 第 9 号』、2022 年)。
本村 凌二(もとむら りょうじ)
(古代ローマ史|東京大学名誉教授)
東京大学名誉教授。博士(文学)。1947 年、熊本県生まれ。『薄闇のローマ世界』でサントリー学芸賞、『馬の世界史』で JRA 賞馬事文化賞、一連の業績にて地中海学会賞を受賞。著作に『多神教と一神教』『愛欲のローマ史』『競馬の世界史』『教養としての「世界史」の読み方』『英語で読む高校世界史』『裕次郎』『教養としての「ローマ史」の読み方』など多数。ライフワークとして執筆している『地中海世界の歴史』全 8 巻は第 5 巻まで刊行。
【企画・進行/モデレーター】
平 諭一郎(たいら ゆいちろう)
(東京藝術大学未来創造継承センター 准教授)
1982年福岡県生まれ。文化財および領域横断的な芸術の保存、継承研究。創造の過程や周辺、実践知といった芸術資源から新たな表現を生み出すクリエイティヴなアーカイヴを推進し、研究プロジェクトや展覧会の企画、論考、制作を行う。芸術保存継承研究会を主宰。
【ディスカッサント】
笠原 真理子(かさはら まりこ)
(東京大学ヒューマニティーズセンター 助教)
博士(文学)。専門は 19世紀後半のフランス・オペラ、特にマスネ作品とその演出研究。文学と舞台芸術の接点としてのオペラ化に注目し、現在はオペラ漫画や多次元的演出など、メディア横断的な表現も研究対象とする。研究と並行してオペラ演出部として上演現場にも関わっている。
小川 潤(おがわ じゅん)
(東京大学大学院人文社会系研究科附属次世代人文学開発センター 助教)
修士(文学・西洋古代史)。人文情報学分野ではセマンティックウェブ・リンクトデータを用いた歴史情報の構造化を専門としつつ、生成AIを用いた西洋古典対話システムである Humanitext Antiqua などのシステムの開発にも従事。また、人文学研究における 3D 技術の応用にも関心を持ち、TEI の 3D対応などに取り組む。
趣旨
「また明日も見てくれるかな?」 *
いつものようにタモリはそう問いかけ、国民的テレビ番組『笑っていいとも!』はおよそ10年前に終わりを迎えました。
昨日と同じ時刻に設定したスマートフォンのアラームによって起床し、水質基準を満たした水道水で顔を洗い、薬機法によって規制され、製造販売の認可を受けた歯磨き粉を用いて歯を磨く。
わたしたちは、意識するとしないとに関わらず、他者によって創造され、承認され、受け渡されるものごとによって社会と関係を結び、「また」や「再び」を繰り返しながら、昨日とは異なる、いつもと同じような日常を過ごしています。
千年以上前に建立された建造物や、古代の演劇、古今東西の美術館で展示される名画や趣向を凝らした工芸品もまた、時を越えて「同じ」ように再演/再現されることで、異なる人々が、かつてと「同じ」ように芸術を体験することができます。また、古代の儀礼や説話は、歴史のなかで再構築/再構成され、変容しながらも、「同じ」ような主題や内容を伝えているともいえます。
ありふれた言い回しではありますが、芸術は「ある」のではなく、様々な文脈の上に「なる」ものとして考えると、いつの日か生み出され、語り継がれ、変容してきた芸術、また文化や歴史についてもまた、現代において「再び」見て、聞き、読み、「新たに」感得されるでしょう。
*『笑っていいとも!グランドフィナーレ感謝の超特大号』(フジテレビ)2014年3月31日に放送